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忙しい週末 その6  (^^_ 。・


土曜朝。仕事で疲れ果てた まてちゃ は、エサよこせデモをよそに、珍しく朝寝坊である。
携帯に見知らぬ女性の声で「うちのほうへ電話を下さい」という留守電が入っていたものの、
掛けてきた番号は非通知だし、名乗った名前にも心当たりがないので、掛け直しようがない。

出動準備をしながら、もしかして、と最悪の光景が頭をよぎり、段ボール箱をクルマに積む。
それを見た まてちゃ が「大丈夫だから。アタシは全然悪い予感がしないもの。」と言う。
そうなのだ。悪いことに関して言えば まてちゃ の第六感は、かなりの信頼と実績がある。

土曜昼。腹ごしらえを兼ねて蕎麦屋さんへ。旧家のご家族もミャオ君も姿を見せないそうだ。
ウチの母さんが1Km離れた木工所の近くで見かけたというが遠すぎる、ともおっしゃった。

念のため周辺を捜索したが何の情報も得られず、帰りの道すがら今後どうするかを話し合い、
まだ保護を諦めないのであれば、旧家の誰がどうであれ我々が確保するしかない、と決めた。

まてちゃ は暗く思い詰めた顔をしてインターネットで調べ始めたが、これは良くない兆し。
もしも記事に書かれているとすれば、極端に良いか悪いかの事例で、普通の事例は数少ない。
その極端に悪い事例とミャオ君とを重ね合わせて、時にはひっそり涙ぐんでいたりするのだ。

土曜の夕方になって。「ねえぇ?仕事が忙しいところ大変申し訳ないのだけれど。」キター!
パニックになると飼い主にも怯えることが多いので、手段としてワナを使うしかないと言う。
保健所などでも借りられるし、ハト屋のN氏に借りてもいいし、買っても1万円弱だと言う。

動くなら早いほうが。今どこで手に入る?。と訊くと、いつものDIY屋にあるそうである。
ワナは、ケージの奥のフックにエサを下げ、フックが引っ張ぱられると入り口が閉じるもの。
使うにあたっては捕獲対象と設置者連絡先を書かねばならず、掛かっても殺してはならない。

ワナの場所から見えない離れたところにクルマを停め、時間帯を決めて撤去することにして、
念のためにそのことを蕎麦屋さんに伝えに行くと、常連の女の子(仮名:A子)が出てきて、
やたら まてちゃ にズリズリする。「代わりにこの子持ってくかい?」とご亭主が笑った。

ワナが閉じる時はカシャンと音がするが、ミャオ君の場合はギャーギャー大暴れしたという。
静かな夜である。敢えて少し離れてはいても、掛かれば啼き声は間違いなく聞こえるはずだ。
待つこと数時間。ふたりで色々な話をして、ちょっと携帯でゲームもしたが、結局は空振り。

日曜朝。暗いうちからもう一度。ついでに周辺を捜索してみるが掻き消えたように何もなし。
犬の散歩をしていた木工所の社長にも訪ねると、親切に話を聞いて下さったが、情報はなし。

日曜夜。仕掛けを終えると まてちゃ が周囲をまわるというのでクルマに戻って待機する。
しばらくして まてちゃ から暗い声で電話。「ちょっと困ったことになっちゃってさぁ。」
A子が上機嫌でついてきてしまったそうだが、 まてちゃ がクルマに乗ると帰って行った。

ペットとはどのような存在だと思うかに始まり、家族や親子とは何か、命とは何か、そして、
亡くなった猫たちの思い出話などなど、ヒソヒソと話しているうちに、撤収の時間となった。
近づくと、月明かりの畑にワナが見えてきた。ワナに敷いておいたタオルがほの白く浮かぶ。

持ち上げようと手を伸ばしかけた瞬間、白いタオルがくるりと振り向いた。いや、猫である。
香箱を作って見上げていたのは先ほどのA子。入り口を開けてやるとスタコラ帰っていった。
by nekoyasiki_ippuku | 2009-03-09 10:32 | 猫たちのこと


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