閑話休題。仕事の話で恐縮だが、二十数年もの間、お客さんとは変わらぬ付き合いである。
こちらも会社や立場が変わり、お客のほうも社長もろとも3回目の総入替えであったりする。 なので、担当の小姑さんも新人からの付き合いだし、ご家族より長い時間一緒にいたりする。 その小姑さん、今となっては働くお母さんだが、まだ男の子にチヤホヤされていた頃の昔話。 残業を終えて、疲れているのに同僚や上司と呑みに行って、深夜1人で家路についていた。 大通りから住宅街へと入る、ちょっとした暗い路地にさしかかる。いつもちょっと怖いなと思う。 その日はうしろから人の気配がする。1人でなくて心強い、という気持ちよりも、やはり怖い。 立ち止まらず振り向かずに気配を探ると、足音でどうやら男、それも距離を詰めてきている。 何となく男の呼吸が聞こえるかな、というところまで来てしまい、走って逃げようと身構えた。 ついに男が声を掛けてきた。馴れ馴れしいが有無を言わさぬ低い声で「もしもしぃ?」と言う。 肩をすくめながら歩調を速める。アタシだって走れば速いし、大きな悲鳴だって出せるのだ。 だが、さらに距離は縮まり、すぐそばで「何してんの?」と言う。明らかに知らない男の声だ。 駆け出そうとした瞬間すぐ脇を何かが追い越した。そして同じ男の声が前方から「マジで?」 そういえば新人の頃の小姑さん、ポケベルにカナのメッセージを入れるのが得意だったなぁ。
by nekoyasiki_ippuku
| 2006-06-06 00:26
| 喜怒哀楽
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